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長野県・佐久でジン蒸留プロジェクトが始動 —長野県・佐久のジンができるまでVol.1


2020年は、COVID-19により世界が激変した一年でした。移動が制限され、人に会うこともこれまでと同じようにはままなりません。そんな厳しい状況の中、「地元の風景を封じ込めたジンをつくろう」と新たな試みに挑む酒造があります。長野県佐久市にある「芙蓉(ふよう)酒造」です。2020年12月26日にリリースされたクラフトジン「YOHAKHU」ができるまでを、全4回の記事で紹介していきます。



杜氏の技術と勘に裏打ちされたジン

芙蓉(ふよう)酒造がある長野県佐久市は、県のほぼ中央、東京から車で片道2時間ほどの距離にあります。北に浅間山、南に八ヶ岳、そのほかにも美しい山々に囲まれた高原性の盆地のため、夏は暑く冬は雪の降らない底冷え厳しい気候が特徴です。


佐久は米どころとしても知られ、芙蓉酒造も約130年前の明治時代に日本酒蔵として誕生しました。現在では、米焼酎を筆頭に、主に焼酎造りを手がけています。芙蓉酒造がおもしろいのは、原料に芋・麦のほか、そばや変わったところではレタスや長芋などさまざまな作物からフレーバーを抽出する蒸留技術をもつことです。依頼を受け、ご当地焼酎などを多数開発してきた実績があります。


今回、ジンづくりに取り組む芙蓉酒造6代目の依田昂憲(よだ・だかのり)さんは、意気込みをこう話します。 「酒造りにおいて、それぞれの作物から味わいを引き出して、どんな酒にするか、その設計図をつくるのが杜氏の役割です。ジンはさまざまなボタニカルを組み合わせてつくるものだと考えているので、その感覚は生かせると思っています」


ベーススピリッツとして使用するのが、芙蓉酒造で造られた「粕取り焼酎」です。日本酒をつくる工程で出る酒粕を使って造られるこの焼酎に、長野・佐久の土地を感じられるようなリンゴ、熊笹、青実山椒など複数種類のボタニカルを漬け込み、クラフトジン「YOHAKHU」が完成しました。



ジンづくりを通して気づいた地元・佐久の魅力


ジンに欠かせない材料であるジュニパーベリーは、佐久の山に自生しているのを依田さんたちが発見し、一部使用しているそうです。


「今回、ジンをつくるために改めて地元に目を向け、佐久を歩き回りました。これまで気が付かなかった佐久の魅力に触れ、この景色をジンに封じ込め世界に伝えられたらと思っています」と依田さんは話します。




そんな酒造りのプロを、脇で支えるのが、香りのエキスパートである国産オーガニックコスメブランド「OSAJI」の代表兼開発者・茂田 正和さんと、日本におけるクラフトジンのムーブメントを牽引してきたジンフェスティバル東京の主催者・三浦武明さんです。ほかにもプロジェクト全体のクリエイティブディレクションにperk代表の小林宏明さん、マネジメントおよび佐久との連携事業でコトハバ代表理事の都丸一昭さんが参画し、ジンづくりをバックアップしています。


ジン「YOHAKHU」は、当初から世界を見据えて開発されてきました。フランス・カレーで予定されていたリリースイベントはやむなく中止となっりましたが、12月26日、27日には国内からヨーロッパのセールスレップチームとオンラインで中継で結びました。

佐久の景色を表現した「YOHAKHU」は、世界にどう受け入れられるのでしょうか? 次回は、世界のジンに精通する三浦武明さんに、「YOHAKHU」をはじめジャパニーズ・ジンの可能性を語ってもらいます。

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