日本におけるお酒の定義は、酒税法によって定められていますが、ジンは、ウォッカやテキーラとともにまとめて“スピリッツ”に分類されてしまうため、ジンについての定義がありません。そのためここでは、ジンの本場であるイギリスやオランダも含まれる“EU”が定めるジンの定義についてご紹介します。 一般的に、ジンの定義について触れる時、このEUのジンの定義が紹介されています。
EUが定めるジンの定義
EUの「EC No.110/2008(スピリッツおよびドリンクに関する規定)」によれば、ジンは以下の3つのカテゴリーに分けられており、それぞれ定義が異なります。
ジン (Gin)
蒸留ジン (Distilled Gin)
ロンドン・ジン (London Gin)
1のジンがベースとなり、1かつ2が蒸留ジン、1かつ2かつ3がロンドン・ジンといったように、上から順に厳格になっていきます。
ジン(Gin)の定義
農作物由来のエチルアルコール(アルコール)に、ジュニパーベリー(ジュニパー)のフレーバーを与えたもの。
瓶詰め時のアルコール度数が37.5%以上であること。
天然および人工の香料を使用し、ジュニパーの香味が主体であること。
ざっくり言えば「アルコールにジュニパーの香味与え、その香りが軸の37度以上のお酒がジン」であり、もっと端的に言うと「ジュニパーを使った37.5%以上お酒がジン」です。
蒸留ジン(Distilled Gin)の定義
96%以上に蒸留した農作物由来のアルコールを使用し、ジュニパーベリーおよびその他の香味植物を加えて再蒸留したもの。
上記の蒸留液に、同量のアルコールや、天然および人工の香料を加えても良い。
瓶詰め時のアルコール度数が37.5%以上であること。
“ジン(Gin)”との違いは、ジュニパーおよび植物(ボタニカル)の香味を“蒸留”によって抽出していること。それゆえに蒸留ジンと名付けられています。ただし、蒸留さえ行っていれば、ボタニカルやその抽出エキス、またはスピリッツをあとで加えてもOKです。
ロンドン・ジン(London Gin)の定義
蒸留ジン(Distilled Gin)の一種。
メタノール濃度が5g/100L以下の農作物由来のアルコールを使用し、天然の香味植物のみを加えて伝統的な蒸留器で再蒸留したもの。
蒸留液のアルコール度数が70%以上であること。
さらにアルコールを添加する場合、農作物由来のものでありメタノール基準も満たすこと。
砂糖などの甘味料を添加する場合、0.1g/1L以下であること。
その他、水以外の添加は不可。(色素も不可)
瓶詰め時のアルコール度数が37.5%以上であること。
※ロンドンと地名がつくものの、産地を指定するものではありません。
項目が多く、厳格な定義のロンドン・ジンですが、重要なポイントは“天然のボタニカルだけ”で香味付けしていることと、糖分以外の添加物が基本的にNGなところ。 最も厳格ではあるものの、多くの国際的なジンブランドは、このロンドン・ジンにあたります。
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