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ジンの主な産地



クラフトジンは、今や世界中で造られています。その数は6000種を超えているとされ、国や地域ごとに大まかにですが傾向が分かれます。もちろん個性の豊かさが魅力のクラフトジンには、そうした傾向に則さないブランドも多くありますが、参考にはなるでしょう。


ここでは、クラフトジンの主な産地国を、基本的な情報と傾向を添えてご紹介します。


イングランド


ジンの歴史において、極めて重要なロンドンを首都とするイングランドは、昔も今もジン大国です。定番スタイルであるロンドン・ドライジンが誕生した国でもあり、世界的に有名なスタンダードジンブランドのほとんどがイングランドで造られています。 長い歴史によって培われた技術力は、クラフトジンにも継承されており、伝統的なドライジンからユニークなジンまで、そのレベルは高い傾向にあります。定番ボタニカルを使用した正統派ロンドンドライジンが多い傾向にあるものの、この国ならではの花であるラベンダーやバラを用いたジンも少なくありません。


オランダ、ベルギー


ジンのルーツであるジュネヴァが誕生したのがオランダ&ベルギー。それゆえに昔も今もジュネヴァ大国です。ジュネヴァは、大麦麦芽などの穀物が原料のモルトワインをベースに使用しており、穀物っぽさを感じさせるのが特徴。 しかし近年は、その高い技術力を活かし、ロンドンドライジンや個性豊かなクラフトジンも造られるようになってきています。特にベルギーは、ユニークなボタニカルを使用したジンが増えてきています。


スコットランド


ウイスキーの産地として日本でも有名なスコットランド。実はウイスキーもジン同様に世界的なブームとなっており、同国では新たな蒸留所が続々と誕生しています。そうした新規参入組はウイスキーとともにジンも手がけることが多いため、近年スコットランドのジンは急増しています。 ウイスキーのように樽熟成させたジンや、ヘザーなど同国ならではの花を使用するジンも少なくありません。また、ヘンドリックスやザ・ボタニストなど、革新的であり、ジンの近代史を語る上で重要なブランドもこの地で造られています。


スペイン


実はジン消費量がとても多く、一人当たりの消費量が世界で1位の誇るスペイン(2017年、Statistaより)。多くの国民に愛されているとあって、ジンは当然のように盛んに造られています。個性豊かなブランドが多く造られていることも手伝って、クラフトジンブームを牽引している国の一つです。 地中海が育んだハーブやスパイスを使用したハーバルなジンが目立ち、食中酒としても応用できるジンが多い傾向にあります。


フランス、イタリア、ドイツ


ワインやリキュールの産地として伝統のあるこれらの国は、当然ながら酒造りの独自のノウハウを有しており、それらを活かしたジンが増えています。 例えばフランスは、ワインの伝統国らしくブドウがベースのジンや、華やかなジンが目立ち、イタリアはリキュールの伝統国として、独自のハーブを用いたしっかりした味わいのジンが多い傾向にあります。ドイツは大人気ブランドであるモンキー47を筆頭に、個性豊かなジンも目立ちます。


北欧


フィンランドやスウェーデンなど北欧のジンは、土地に寄り添ったブランドが多い傾向にあります。同地域はライ麦の産地としても知られていますが、これを原料としたスピリッツをベースに用いるケースも目立ちます。また、キュロやテヌ・ジンのように、クランベリーやリンゴンベリーといった寒い地域特有のフルーツを使ったユニークなジンも存在感があります。インテリアやファッションなどデザインで有名な地域とあって、ボトルのデザインもどこか洗練されています。


北米


ビールやワイン、ウイスキー、ウォッカなどあらゆるお酒が造られているアメリカでも、ジンは大注目のお酒とされ、盛んに造られています。実はクラフトジンに関しては先進国であり、ジュニペロやレオポルドのように歴史が長いブランドも多数存在します。また、クラフトビールの担い手が手がけるケースも目立ち、健康意識が高いアメリカらしくオーガニックのジンも少なくありません。 大まかな傾向としては、自由の国らしく自由な発想で造られたジンが目立ちます。


オセアニア


オーストラリアやニュージーランドでも、今ジンは盛んに造られています。 オーストラリアでは、フィンガーライムなど同国ならではのボタニカルを使用したジンが多く、インク・ジンに代表されるようにユニークなジンも目立ちます。 一方、ホップ(ビールの原料)の産地としても知られるニュージーランドでは、それを活用したジンも少なくありません。


日本


ここ数年、日本にもクラフトジンのブームが到来し、造り手が急増。今やクラフトジンだけでもブランドの数が30前後となっています。 日本のジンの特徴は、日本独自の素材を用いていること。例えば米や芋などの焼酎をベースに用いるケースが多く、焼酎の蔵元が手がけるジンも少なくありません。一方でボタニカルは、柚子やお茶の葉、山椒を筆頭に、その地域の特産品が使われることが多い傾向にあります。 それによって、日本人の舌に合う味わいのジンが多く、全体的な傾向としてはまろやかでしっかりした味わいものが目立ちます。 ここ最近では、季の美が世界的な酒類品評会で最高賞を受賞するなど、世界から高評価を獲得しています。

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